EK43Sを自宅に導入し、実際に使用して、以下の項目についてまとめました。
- エスプレッソ用グラインダーとしてのメリット
- ドリップ用グラインダーとしてのメリット
- 挽き目(写真付き)
- EK43Sの注意点
- メンテナンス時、あると便利な小物類
業務用コーヒーグラインダーとしてコーヒー専門店で目にすることがあるEK43/EK43S。
自宅に導入することはできるのだろうか…?
と考えるコーヒー好きの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
(いらっしゃらないでしょうか…?
業務用として使う場合でも役立つ情報と思うので、話を進めます。w)
確かに、ものすごく高い買い物ですし、自宅に導入するのは躊躇すると思います。
また、可能な限りたくさん情報を集めたいのに、自宅で使用したレビューはぼぼありません。
しかし、自宅にEK43/EK43Sを導入することで、
おうちコーヒーのクオリティが数段あがることを実感できると思います。
そこで本記事ではコーヒーにハマって10年以上の私でぃーんが、
コーヒーグラインダー(ミル)EK43Sを自宅に導入した感想をレビューします!
一般家庭でEK43Sを使ってみた視点から、
- エスプレッソグ用ラインダーとしてのメリット
- ドリップ用グラインダーとしてのメリット
- 挽き目
- 感じた注意点
- あると便利な小物類
といった内容をまとめてみました。
EK43Sが気になっている方が実際に導入に踏み切るかべきどうか、
判断材料の一つにしていたけると幸いです。
EK43Sとは?
ドイツのMAHLKONIG(マールクーニック、マルケニッヒ)社製のコーヒーグラインダーです。
EK43はワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)という競技会の公式グラインダーになっていますが、
元々2011年にWBC3位となったMatt Perger氏が、
エスプレッソグラインダーとして使用したことがきっかけで有名になったそうです。
コーヒー業界ではかなり有名なグラインダーで、
特にスペシャルティコーヒー店でよく目にします。
EK43とEK43Sの違い
EK43とEK43Sの違いを表にしました。
異なる項目に太字+マーカーをつけています
EK43 | EK43S | |
---|---|---|
ホッパー容量 | 1500g | 800g |
寸法 | 幅230×奥行410×高さ830mm | 幅230×奥行410×高さ680mm |
本体重量 | 26.0kg | 24.5kg |
回転速度 | 50Hz 1480rpm、60Hz 1740rpm | |
作動音 | 87db | |
連続挽き時間 | 40分 | |
電圧、電流、消費電力 | 100V、12.5A、1.3kW | |
刃の直径 | 98mm |
刃のサイズはそのままに、本体高さ・ホッパーサイズが小さくなったのがEK43Sです。
刃が同じなので、グラインダーの性能としては、
EK43とEK43Sは同等です。
また、回転速度や作動音、消費電力も同じです。
ですので、
- デザイン
- ホッパー容量
- 高さ
に特に着目して、適した方を選べば良いです。
私が自宅で使用するにあたっては、
EK43では大きすぎるのでEK43S一択でした。
なぜEK43Sを自宅に導入しようと思ったか
きっかけは自宅にエスプレッソマシンを導入することを決めたとき、
エスプレッソマシン用のグラインダーを持っていなかったからです。
エスプレッソ用に挽ける新しいグラインダーを買うなら、どんな性能を求めるか?
私の答えは以下でした。
- プロも使用している本格的なグラインダーがいい
- 色々な豆を試したいので、粉残りの少ないグラインダーにしたい
- どうせ良いグラインダーを導入するなら、ドリップの質も上げたい
これらの要望を満たせるグラインダーはEK43Sの他はあまりなく、
代理店の方にも「EKに代わるグラインダーは無い」と教えていただきました。
結論、思い描いていた使い方、味の出し方ができており、大変満足しています。
どんなところにメリットを感じているか、具体的にご説明します。
EK43/EK43Sの挽き目(メッシュ)
EK43/EK43Sの大きなメリットの一つは、
様々な挽き目(メッシュ)に対応可能なことです。
エスプレッソからドリップ、プレスまで、
ほとんど全ての抽出方法に対応できます。
挽き目と対応する抽出方法の目安を表にまとめました。
挽き目と対応する抽出方法の目安
挽き目:メモリ番号 | 抽出方法 |
---|---|
0~1(極細挽き) | エスプレッソ |
7(細挽き) | モカエキスプレス(マキネッタ) |
10(中挽き) | ペーパードリップ(浅煎り) |
14~16(粗挽き) | ペーパードリップ(深煎り) ネルドリップ(深煎り) 水出し エアロプレス フレンチプレス |
挽き目の写真は、エスプレッソ用と、
ドリップなどに用いた時にわけてご紹介します。
エスプレッソ用グラインダーとしてのメリット
まずはエスプレッソ用グラインダーとしてEK43Sを使用した際の感想です。
エスプレッソマシンにはSANREMO CUBE Rを使用しました。
使用したエスプレッソマシンの主な仕様
- シングルボイラー(PID付きHX)
- E61グループヘッド
- ロータリーポンプ
ダマが少ない
エスプレッソ用に挽いた粉の様子をご紹介します。
挽き目ダイヤル0.7(極細挽き)
ダマがほとんどなく、あっても柔らかいので、WTDは必要なく、
ディストリビューターでならせば問題ない程度です。
ダマがあるとエスプレッソの抽出が不均一になり、
チャネリングが起こるので、ダマが無いことはエスプレッソグラインダーにとって重要です。
粉残りが少ない
毎回異なる種類の豆を使用する場合は特に、
前に挽いた豆の粉が残っていないことが重要です。
実際に挽く前の豆の量と、挽いた後の粉の量を測ってみました。
挽き目ダイヤル0.7
投入した豆の量 | 挽いた後の粉の量 | ロス |
---|---|---|
10g | 9.7g | 3% |
ロス量は3%と、かなり少ないことがわかります。
したがって、異なる種類の豆が混ざることが少なく、
色々な種類の豆を使い分けるのに向いているといえます。
これはエスプレッソに限らず、後述のドリップ用でも重要な要素です。
エスプレッソの味が良い(産地、焙煎度を選ばない)
最も重要な味に関してですが、どんな産地、焙煎度でもおいしく抽出できます。
グアテマラのチョコレート感もしっかり出せますし、
エチオピアの華やかな酸味も引き出せます。
前評判通りで、エスプレッソの味はとても良いです。
※意外にも、手挽きミルでEK43Sなみの味が出せるモノが出てきました。
ドリップ用グラインダーとしてのメリット
次にドリップ用グラインダーとしてEK43Sを使用した感想です。
エスプレッソ以外の抽出方法に当てはまるメリットと思います。
こんな抽出方法に使える
- ペーパードリップ
- ネルドリップ
- 水出し
- エアロプレス
- フレンチプレス
- サイフォン
- モカエキスプレス(マキネッタ)
様々な挽き目に対応可能
まずは挽き目別の写真をご紹介します。
挽き目7(細挽き)
挽き目10(中挽き)
挽き目16(粗挽き)※最大挽き目
上記のように、どのような挽き目にも対応が可能です。
また、微粉が少ないことが写真からもわかるかと思います。
これにより、どのような抽出方法でも雑味の少ない抽出が可能となります。
雑味が少なく、抽出効率を上げられる
挽き目の紹介でも少しふれましたが、微粉が少ないため、
抽出時に雑味が出づらいというメリットがあります。
その結果、クリーンさを保ちつつ、豆の特徴をしっかり引き出すことができます。
少し専門的な書き方をすると、抽出効率(豆の量に対する抽出量)を上げることができます。
家庭用ミルと比較すると、豆の使用量に以下の違いがありました。
ナイスカットミル | EK43S | |
---|---|---|
豆の量 | 15g | 13g |
抽出液の量 | 170ml | 170ml |
家庭用コーヒーグラインダーのナイスカットミルですと、
雑味を出さないようにするため、
170mlのコーヒーを抽出するのに、
粗挽きで15gの豆を使用することでおいしく抽出できていました。
一方でEK43Sでは、ナイスカットミルの1-2割少ない豆の量で、
同程度の濃さのコーヒーを抽出しても雑味がありません。
むしろしっかりと豆の個性(フレーバーや味の特徴)を引き出すことができると感じています。
グラインドスピードが速い
ドリップ用に限りませんが、もともと業務用グラインダーのため、
19-21g/秒(公称値)とグラインドスピードが非常に早いです。※みるっこの3倍以上
日々の使用にストレスが全くないのはもちろんですが、
コーヒー豆を挽いて誰かにプレゼントする時に、特に重宝します。
コーヒーを入れる袋をノッカーに固定して挽くことができるので、
非常に扱いやすいです。さすが業務用グラインダーです。
EK43Sの注意点
EK43Sを使用して感じたデメリット(注意点)をご紹介します。
粗挽きが苦手
通常の設定のままですと、もっとも粗い16番の挽き目でも、挽き目が細かいと感じました。
特に中深煎り~深煎り豆を使用する場合ですと、
もう少し粗く挽きたい…
と感じることがあるかと思います。
そんなときは、ゼロ点調整を粗めに行うことで対応できます。
私は約2メモリ(数字2つ分)ずらして設定しており、
エスプレッソ用の極細挽きにも、
深煎り豆のドリップやフレンチプレス用といった粗挽きにも対応できるようになっています。
ゼロ点調整については、以下のメンテナンス動画の1~5分で詳しく説明がされています。
メンテナンスがやや大変
業務用グラインダーということで大型で、部品点数が多いので、
家庭用グラインダーと比較するとメンテナンスがやや大変です。
具体的なメンテナンス方法は、プロのわかりやすい動画があるのでご紹介します。
R&D ESPRESSO LAB さんの動画より。
フルでメンテナンスすると、慣れないと30分くらいかかるのではないでしょうか。
ただ、家庭で1日2-3回使用するくらいの頻度であれば、
1-2週間に1回のメンテナンスでも問題なく使用できると感じています。
時間はかかりますが、EK43Sを愛でる時間と考えると、特に苦にはなりません。w
EK43/EK43Sのメンテナンス:あると便利な小物類
EK43Sのメンテナンスをするうえで、
あると便利な小物類をご紹介します。
マイナスドライバー 8mm
掃除の際、グラインダーを分解するのに使います。
内部で刃を止めているネジも、同じドライバーで取り外せます。
先が8mmのものが、上記写真の通りちょうど良いです。
上の写真で使用しているドライバー
水栓ドライバー
ゼロ点設定の際、刃の位置を調整するのに使用します。
普通のマイナスドライバーでは遊びが大きいので、
水栓ドライバーという大きいマイナスドライバーのようなものを使用しています。
上記写真は、先端幅18mm、先端厚み1.6mmのものです。
上の写真で使用している水栓ドライバー
マイクロペンチ
シャープレートを取り外すのに使用します。
(上の方の動画の8:00くらいを参照)
私の使用しているマイクロペンチ
グラインダー掃除用はけ
刃を掃除するためのはけです。
現在使用しているもので問題ありません。
EKに限らず、刃の定期的な掃除はクリアな味を維持するため必須です。
例えば以下
歯ブラシ
はけで取り切れない粉を落とすのに使います。
余った歯ブラシなんでも良いですが、
使用済み歯ブラシでは衛生上よろしくないので、
新品のものを使いましょう。←当たり前
個人的に好きな歯ブラシ
竹串
刃をとめているネジ穴に詰まった粉を取るのに使います。
金属製の何かよりも傷つけずに済むかと思い、竹串を採用しています。
百均などで売っているものでOKです。
通販では例えば下記
アライメントツール
刃を戻す際に、位置決めするためのツールです。
(上の方の動画の15:00くらいを参照)
私はR&D ESPRESSO LABさんのものを使っています。
グリス
刃を戻す際に、グリスアップする必要があります。
食品製造機械に使用されるNSF H1グレードのものを選ぶと良いです。
NSF H1グレードのグリス
NSFに関しての参考ページ
HACCP(ハサップ)対応の食品機械用潤滑剤規格「NSF H1」とは?
https://www.exseal.co.jp/blog/taxonomy-07/7300/
NSF Japan 株式会社
https://www2.nsf.org/l/129231/2022-07-25/3qk6mk
まとめ
EK43Sを自宅で使用した感想をまとめます。
エスプレッソ用グラインダーとしてのメリット
- エスプレッソの味が良い(産地、焙煎度を選ばない)
- ダマが少ない
- 粉残りが少ない
ドリップ用グラインダーとしてのメリット
- 様々な挽き目に対応可能
- 雑味が少なく、抽出効率を上げられる
- グラインドスピードが速い
自宅で使用する注意点
- メンテナンスがやや大変
- 粗挽きが苦手
- 消費電力が高い(1300W)
注意点の3つ目は、性能に関わるところではないので本文では紹介しませんでしたが、
1300Wと消費電力が高いです。
そのため、オーブントースターや電子レンジなど、
他の消費電力が高い家電と同じ系統の電源につなぐと、
ブレーカーが落ちる原因となりますのでご注意ください。
キッチンに個別の電源を引いておくと便利。←注文住宅なら、設計時に要望出すことできます
結論として、EK43Sを自宅に導入して本当に良かったと感じています。
おうちコーヒーのクオリティが数段上がり、
おいしいコーヒーのみたいからどこかカフェに行こう
から、
おいしいコーヒーのみたいから早く帰ってコーヒーいれよう
と思うことが多くなりました。
グラインダーの値段は高いけど、ある意味節約になっているかも!?
以上、本レビューがお役に立てて、
おうちEK仲間が増えることを期待しています!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!