コーヒー生豆の保存期間を伸ばす方法|劣化防止に有効な真空パック・袋を紹介

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おうちコーヒー焙煎歴10年目のでぃーんです。

購入直後はおいしかった生豆でも、3か月~半年間ほど保存してから焙煎すると

豆の特徴が弱く、味気ないコーヒーになっておいしくない…

という問題に悩まされたことはありませんか?

もしかすると、生豆の劣化が原因かもしれません。

私は以前、常温で風通しの良いところに保管していましたが、それは生豆の劣化しやすい環境でした。

そこで改めてコーヒー生豆保存に関する文献を調べたところ、

保存する温度と袋(容器)が重要

ということがわかりました。

本記事では、調査でわかった生豆劣化の原因と、

実際に私が実践している対策、および使用している真空パック機器と袋について解説します。

吸引力が高い真空パック機

厚手の真空パック用袋

温度・湿度の変化が少ない茶箱

目次

コーヒー生豆の劣化

生豆保存

コーヒー生豆の保存方法は色々な情報があって、

常温で風通しの良い暗所に置いておけば数年はもつ

といった意見もあります。

確かに生豆はガスが抜けていくということもないので、焙煎豆よりは保存に気を使わなくても大丈夫ともいえます。

しかし、自分で焙煎をしていると、購入後3か月ほどたってから焙煎すると

購入してすぐに焙煎した時よりも風味が弱いような…?

と感じることがありました。

そこでまずは、以下の2点について調べた結果をまとめます。

  • 生豆の劣化に影響している要因
  • どの要因を抑えるのが重要か

生豆の劣化に影響している要因

生豆の商社さんのHPを見ると、

生豆の保管に適している温度は15度〜20度、湿度は30%~50%。

海ノ向こうコーヒーHP

という記載が見つかりました。

また、

日光などはもちろん、外気に直接触れるのも生豆にとってはよくないこと。

ユーエスフーズ株式会社HP

ということも書いてあります。

つまり、以下の項目が生豆の劣化に影響しそうなことがわかりました。

  • 温度
  • 湿度
  • 空気

生豆の劣化の主要因は「温度」と「保存袋」

生豆の劣化要因に関する情報は得られましたが、どの項目がどの程度影響を与えているのでしょうか?

その一つの答えが、有名なスペシャルティコーヒー店「堀口珈琲」の創業者、

堀口 俊英氏らによる論文に示されていました。

堀口 俊英 他 (2019). 「日本食品保蔵科学会誌」『コーヒ一生豆の流通過程における梱蝕,輸送,保管方法の違いが品質変化に及ぽす影響』 45(3), pp.129-134.

調査方法(論文を基に筆者要約)

コロンビア産のスペシャルティコーヒーを、下記2条件で輸送・保管を行った。
1.リーファーコンテナ(15℃)で輸送 → 定温倉庫(15℃)で保管
2.ドライコンテナ(30~35℃の影響あり)で輸送 → 常温倉庫で保管

輸送・保管時に使用した袋は、下記2種類。
A.真空パック
B.麻袋

結果(入港~1年後)

条件官能評価(SCAA cupping foam, Total Score)
1A(定温+真空パック)83.50
1B(定温+麻袋)81.56
2A(常温+真空パック)81.19
2B(常温+麻袋)79.62
入港から1年後の官能評価結果

官能評価の点数は、80点以上がスペシャルティの基準です。

常温+麻袋の条件は80点以下、つまりスペシャルティの基準を下回っています。

このことから、

コーヒー生豆は、常温・麻袋で1年保存すると劣化する

ということが言えます。

論文では官能評価だけでなく、総脂質量酸価pHについて定量的に調べて考察を行っていました。気になる方は、論文の原文をご参照ください。

コーヒー生豆保存のためのコスト比較(ワインセラーvs真空パック)

論文の調査結果で見たように、コーヒー生豆の保存には以下の2点が有効です。

  • 定温保管(15℃)
  • 真空パック

論文の官能評価の結果だと、どちらも1年間スペシャルティを維持できているので、まずはどちらか片方で運用を始めてみることにしました。

家庭用冷蔵庫の温度は、最も温度が高い野菜室で8℃程度です。

出典:日立HP

やや温度が低すぎるのと、他の食材へのにおい移りが気になるので、別途生豆用の冷蔵庫を用意する必要があります。

温度帯15℃に合っているのはワインセラーですので、ワインセラーと真空パックのコストを比較してみました。

コスト比較 ワインセラーvs真空パック

ワインセラー真空パック
本体のコスト約10,000円
アイリスオーヤマ PWC-251P-B
約17,000円
フードシールド JP290 (標準版)
ランニングコスト17,651円/年
電気代
1,200円/年
真空パック袋代
※価格はおおよそです。電気代や生豆の保存量などで変動します。

やはり圧倒的に異なるのはランニングコストで、毎年かかるコストが真空パックの方が安い!

ということがわかったので、真空パックで生豆を保管することを試してみることにしました。

コスト試算方法の詳細が知りたい方は、本記事の最後にまとめました。

真空パックした生豆の保存期間とオススメ機器

真空シーラーで生豆を真空パックしている写真

真空シーラーを使って真空パックにし、2022年12月~2023年9月の10か月間常温保管して焙煎したところ、

コーヒーの味がフラットになることはなくなりました。

真冬→梅雨→真夏という季節をまたいだにも関わらず!

定温環境を用意することなく解決できるため、ランニングコストが抑えられるので、自宅でも採用しやすい方法と考えています。

では、私が実際に使用しているオススメの機器をご紹介します。

生豆保存に使っている機器一覧

道具概要
真空シーラー真空パックする道具。専用袋が必要でなく、吸引力が高いのが理想。
真空袋普通のビニール袋ではなく、厚手の袋が必要。
茶箱木箱の内側に金属板が貼られており、温度・湿度の変化が少ない。

真空シーラー:フードシールド 業務用真空パック器 JP290 (標準版)

フードシールド 業務用真空パック器 JP290 (標準版)の写真

真空シーラーは色々な種類があり悩みましたが、

  • 専用袋が必要でない
  • 吸引力が80kPaと高い

という点でフードシールド製 JP290(標準版)を選びました。

結果として満足しており、1年以上使用していますが故障もありません

専用袋が必要でないため、真空引きをOFFにすれば普通の熱シーラーとして使用でき、

といった袋も圧着が可能です。

蒸着アルミ袋やクラフト袋に焙煎したコーヒー豆を入れてシールし、知人にプレゼントすると大変喜ばれるので重宝しています。

真空パック機種によっては専用の袋が必要で、袋のコストが多くかかるので注意です。また、そのような機種は蒸着アルミ袋など、他の袋をシールすることはできません

様々な袋に対応可能+高い吸引力!

また、このフードシールド製 JP290(標準版)は、販売企業の動画で使い方が解説されており安心です。

使い方解説動画

真空袋:クリロン化成 彊美人

これでなくても良いですが、厚さ70μmと厚くて破れづらく、使用頻度からするとコストも許容範囲なのでこちらを使っています。

おすすめサイズ

  • 生豆250g以下の場合:XS-1725(170mm×250mm)
  • 生豆250~500g程度の場合:XS-2030(200mm×300mm)

この袋は-40℃の冷凍から100℃でのボイルまで可能なので、
・焼いたハンバーグを真空パックにして冷凍保存→食べたい時に湯せんで解凍
・下味をつけた鶏肉をオリーブオイルと共に真空パックにしてコンフィを作る
なんて使い方ができてコーヒー以外でも活躍します!

生豆250g以下の保存に

生豆250~500g以下の保存に

茶箱

茶箱の写真

これはあっても無くても良いかもしれませんが、

温度、湿度変化がなるべく少なくなるように茶箱の中に真空パックした生豆を保管しています。

ワインセラーの導入も考えましたが、初期コスト、ランニングコストがバカにならないので、茶箱で保管しています。

また、オシャレだし木の香りがして落ち着くので、インテリアとしても気に入っています。

サイズは保存する生豆の量によりますが、

20kg(外寸法:幅50cm×奥行36cm×高さ41cm)

くらいの茶箱で、生豆10kgハンドピック用小道具が収納できます。

品質の良いコーヒー生豆の仕入れ方

生豆の写真

コーヒー生豆の保存方法を工夫しても、そもそも生豆の品質が悪いと美味しいコーヒーにはなりません。

そのため、品質の良い生豆を扱う業者から仕入れることが重要です。

個人で焙煎を楽しんでいる方は、通販で生豆を買うことがほとんどだと思いますが、

仕入れ先による品質のバラツキは大きいです。

私は焙煎を続ける中で、よい業者、よくない業者含め10社以上の業者から生豆を購入してきました。

その中から本当にオススメできる業者をまとめたので、

使っている生豆の品質に絶対の自信は無いかも…

という方は、ぜひ下記の記事を参考にしてみてください。

まとめ

コーヒー生豆の劣化を抑えて保存期間を伸ばすには、以下2点が重要であることを解説しました。

  • 15℃程度の定温保管
  • 真空パック

また、実際に私の使用している真空パックの道具を紹介しました。

ぜひ参考にしていただき、生豆を新鮮に保っておいしいコーヒーが焙煎できるようにしていただければと思います。

吸引力が高くてオススメ

厚手の真空パック用袋

温度・湿度の変化が少ない

最後まで読んでいただきありがとうございました!

参考:コスト試算方法の詳細

ワインセラーと真空パックのコスト試算の詳細を参考までにご紹介します。

ワインセラーで定温保管した場合のコスト

ワインセラーで必要なコストは、

  • 本体のコスト
  • 電気代

となります。それぞれ計算してみるために、ワインセラー調べました。

>>小型ワインセラーをAmazonで検索

容量や冷却方式によってまちまちです。

ここでは例として、比較的手ごろな値段で手に入る、

アイリスオーヤマ PWC-251P-Bで試算します。

本体のコストは、約1万円です。

1年間の電気代は、消費電力が65Wなので、

0.065kW×24時間(h)×31円/kWh×365日=17,651円/年

と算出できました。

電気代出典:全国家庭電気製品公正取引協議会HP

毎年かかると考えると、それなりに高いランニングコストになることがわかりました。

真空パックのコスト

真空パックで必要なコストは、

  • 本体のコスト
  • 真空パック袋代

となります。ここでは、

フードシールド 業務用真空パック器 JP290 (標準版)と、クリロン化成 彊美人 XS-2030を例に試算します。

真空パック機は約17,000円、袋は約1,500円/100枚です。

1年間に使用する生豆の量は、私の場合約20kgなので、

1袋に250g詰めて真空パックする場合、80枚で済むので袋の年間コストは

15円/1枚×80枚=1,200円/年

となり、ワインセラーよりも安いことがわかりました。

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