【コーヒー生豆の保存方法】真空パックで保管可能な期間を伸ばす!自宅・家庭でもおすすめ

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おうちコーヒー焙煎士(趣味)を7年以上やっています、でぃーんです。

自分でコーヒー焙煎をするようになると、

適切な生豆の保存方法が気になりませんか?

私は以前、

  • 紙袋
  • 常温(エアコンの効いた部屋)
  • 暗所

という条件下で生豆を保管していました。

常温で風通しの良いところに保管すれば良いと思っていたからです。

しかし、購入して1-2か月はおいしく飲めていた生豆でも、

3か月~半年間ほど保存してから焙煎すると

コーヒーの味がフラットになる(特徴がない味になる)場合がある

という問題に悩まされました。

生豆が保存方法で劣化しているのでは?と推測し、

文献の調査、および対策を実践した結果、

生豆を真空パックして保管することが有効

ということがわかったので、この記事でシェアしたいと思います。

目次

コーヒー生豆は劣化するのか?

生豆保存

コーヒー生豆の保存方法は色々な情報があって、

常温で風通しの良い暗所に置いておけば数年はもつ

といった意見もあります。

確かに生豆はガスが抜けていくということもないので、

焙煎豆よりは保存に気を使わなくても大丈夫ともいえます。

しかし、自分で焙煎をしていると、

購入後3か月ほどたってから焙煎すると

購入してすぐに焙煎した時よりも風味が弱いような…?

と感じることがありました。

そして調べた結果、

生豆も劣化するということがわかりました。

ここでは、

  • 生豆の劣化に影響している要因
  • どの要因を抑えるのが重要か

についてまとめていきます。

生豆の劣化に影響している要因

生豆の商社さんのHPを見ると、

生豆の保管に適している温度は15度〜20度、湿度は30%~50%。

海ノ向こうコーヒーHP

という記載が見つかりました。

また、

日光などはもちろん、外気に直接触れるのも生豆にとってはよくないこと。

ユーエスフーズ株式会社HP

ということも書いてあります。

つまり、

  • 温度
  • 湿度
  • 空気

このあたりが生豆の劣化に影響しそうなことがわかりました。

生豆の劣化の主要因は何か?

生豆の劣化要因に関する情報は得られましたが、

どの項目がどの程度影響を与えているのでしょうか?

その一つの答えが、有名なスペシャルティコーヒー店「堀口珈琲」の創業者、

堀口 俊英氏らによる論文に示されていました。

堀口 俊英 他 (2019). 「日本食品保蔵科学会誌」『コーヒ一生豆の流通過程における梱蝕,輸送,保管方法の違いが品質変化に及ぽす影響』 45(3), pp.129-134.

調査方法(論文を基に筆者要約)

コロンビア産のスペシャルティコーヒーを、下記2条件で輸送・保管を行った。
1.リーファーコンテナ(15℃)で輸送 → 定温倉庫(15℃)で保管
2.ドライコンテナ(30~35℃の影響あり)で輸送 → 常温倉庫で保管

輸送・保管時に使用した袋は、下記2種類。
A.真空パック
B.麻袋

結果(入港~1年後)

条件官能評価(SCAA cupping foam, Total Score)
1A(定温+真空パック)83.50
1B(定温+麻袋)81.56
2A(常温+真空パック)81.19
2B(常温+麻袋)79.62
入港から1年後の官能評価結果

官能評価の点数は、80点以上がスペシャルティの基準です。

常温+麻袋の条件は80点以下

つまりスペシャルティの基準を下回っています。

このことから、

コーヒー生豆は、常温・麻袋で1年保存すると劣化する

ということが言えます。

論文では官能評価だけでなく、総脂質量酸価pHについて定量的に調べて考察を行っていました。気になる方は、論文の原文をご参照ください。

コーヒー生豆の劣化に有効な対策

どのような保存方法が生豆の劣化に有効なのか?

に関しては、前述の論文の調査結果で見たように、

  • 定温保管(15℃)
  • 真空パック

が有効です。

論文の官能評価の結果だと、

どちらも1年間スペシャルティを維持できているので、

まずはどちらか片方で運用を始めてみることにしました。

結論、私は真空パックを選んで運用しているのですが、

選ぶ上で考えた内容を共有します。

(正直、運用コストで選びました。w)

定温保管(15℃)のコスト検証

家庭用冷蔵庫の温度は、

最も温度が高い野菜室で8℃程度です。

出典:日立HP

やや温度が低すぎるのと、

他の食材へのにおい移りが気になるので、

別途生豆用の冷蔵庫を用意することになります。

温度帯15℃に合っているのはワインセラーです。

ワインセラーで必要なコストは、

  • 本体のコスト
  • 電気代

となります。それぞれ計算してみるために、ワインセラー調べました。

>>小型ワインセラーをAmazonで検索

容量や冷却方式によってまちまちです。

ここでは例として、比較的手ごろな値段で手に入る、

アイリスオーヤマ PWC-251P-Bで試算します。

本体のコストは、約1万円です。

1年間の電気代は、消費電力が65Wなので、

0.065kW×24時間(h)×31円/kWh×365日=17,651円/年

と算出できました。

電気代出典:全国家庭電気製品公正取引協議会HP

毎年かかると考えると、

それなりに高いランニングコストと思いましたがいかがでしょうか…

真空パックのコスト検証

真空パックで必要なコストは、

  • 本体のコスト
  • 真空パック袋代

となります。まずは真空パック機を調べてみました。

>>真空パック機をAmazonで検索

真空パック機は本当に多くの機種があって迷うと思います…

ここでは、

フードシールド 業務用真空パック器 JP290 (標準版)と、

クリロン化成 彊美人 XS-2030を例に試算します。

これらは私が使用しているものですが、選んだ理由は後程ご紹介します。

真空パック機は約17,000円

袋は約1,500円/100枚です。

1年間に使用する生豆の量は、私の場合約20kgなので、

1袋に250g詰めて真空パックする場合、

80枚で済むので袋の年間コストは

15円/1袋×80枚=1,200円/年

となります。

ワインセラー vs 真空パックコスト比較

両者のコスト比較表を作りました。

ワインセラー真空パック
本体のコスト約10,000円
アイリスオーヤマ PWC-251P-B
約17,000円
フードシールド JP290 (標準版)
ランニングコスト17,651円/年
電気代
1,200円/年
真空パック袋代
※価格はおおよそです。電気代や生豆の保存量などで変動します。

やはり圧倒的に異なるのはランニングコストで、

毎年かかるコストが真空パックの方が安い!

ということがわかったので、

真空パックで生豆を保管することを試してみることにしました。

真空パックで生豆を保管した結果と、使用した機器

真空シーラーで生豆を真空パックしている写真

いきなり結論ですが、真空シーラーを使って真空パックにし、

2022年12月~2023年9月の10か月間常温保管して焙煎したところ、

コーヒーの味がフラットになることはなくなりました。

真冬→梅雨→真夏という季節をまたいだにも関わらず!

定温環境を用意することなく解決できるため、ランニングコストが抑えられるので、

自宅でも採用しやすい方法と考えています。

では、私が実際に使用した道具をご紹介します。

真空シーラー:フードシールド 業務用真空パック器 JP290 (標準版)

フードシールド 業務用真空パック器 JP290 (標準版)の写真

真空シーラーは色々な種類があり悩みましたが、

  • 専用袋が必要でない
  • 吸引力が80kPaと高い

という点でフードシールド製 JP290(標準版)を選びました。

結果として満足しており、1年以上使用していますが故障もありません

専用袋が必要でないため、真空引きをOFFにすれば普通の熱シーラーとして使用でき、

  • 蒸着アルミ袋
  • クラフト袋
  • ポテチの袋

といった袋も圧着が可能です。

蒸着アルミ袋やクラフト袋に焙煎したコーヒー豆を入れてシールし、

知人にプレゼントすると大変喜ばれるので重宝しています。

真空パック機種によっては専用の袋が必要で、袋のコストが多くかかるので注意です。また、そのような機種は蒸着アルミ袋など、他の袋をシールすることはできません

様々な袋に対応可能+高い吸引力!

また、このフードシールド製 JP290(標準版)は、

販売企業の動画で使い方が解説されており安心です。

使い方解説動画

真空袋:クリロン化成 彊美人

これでなくても良いですが、厚さ70μmと厚くて破れづらく、

使用頻度からするとコストも許容範囲なのでこちらを使っています。

おすすめサイズ

  • 生豆250g以下の場合:XS-1725(170mm×250mm)
  • 生豆350~500g程度の場合:XS-2030(200mm×300mm)

この袋は-40℃の冷凍から100℃でのボイルまで可能なので、
・焼いたハンバーグを真空パックにして冷凍保存→食べたい時に湯せんで解凍
・下味をつけた鶏肉をオリーブオイルと共に真空パックにしてコンフィを作る
なんて使い方ができてコーヒー以外でも活躍します!

生豆250g以下の保存に

生豆350~500g以下の保存に(250gも保存可能)

茶箱

茶箱の写真

これはあっても無くても良いかもしれませんが、

温度、湿度変化がなるべく少なくなるように茶箱の中に真空パックした生豆を保管しています。

ワインセラーの導入も考えましたが、初期コスト、ランニングコストがバカにならないので、茶箱で保管しています。

また、オシャレだし木の香りがして落ち着くので、

インテリアとしても気に入っています。

サイズは保存する生豆の量によりますが、

20kg(外寸法:幅50cm×奥行36cm×高さ41cm)

くらいの茶箱で、生豆10kgハンドピック用小道具が収納できます。

まとめ

本記事のまとめです。

科学的な根拠有り!

  • 自宅でのコーヒー生豆の保管には、真空パックが有効(常温保存可)
  • 15℃程度の定温保管すると、さらに劣化を抑制できる

おすすめの道具

  • 真空シーラー:フードシールド 業務用真空パック器 JP290 (標準版)
  • 真空袋:クリロン化成 彊美人
  • 茶箱

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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