おうちコーヒー焙煎歴8年のでぃーんです。
みなさん、コーヒー自家焙煎にどんなイメージがあるでしょうか?
- 新鮮でおいしいコーヒーが飲めそう
- でも、焙煎技術が必要で難しそう
- 煙が出て近所迷惑になりそう
そんなイメージが浮かんできますが、これらはどれも間違っていません。
私もおいしいと思うコーヒーが焙煎できるまで半年以上かかりましたし、
煙が近所迷惑にならないよう、時間を選ぶなど工夫しています。
技術の面では、全自動の電気焙煎機があることは知っていましたが、
電気の熱風式ではおいしく焙煎できないのでは…?
と勝手なイメージを持っていました。
ですが、コーヒーの展示会SCAJのダイニチ工業株式会社ブースにて、
カフェプロ MR-F60A
という家庭用の全自動 電気式焙煎機(熱風式)で焙煎したコーヒーを試飲させてもらったら、
しっかりと甘くてコク深いコーヒーで驚きました。
自分でも使ってみたい!と思い、ダイニチ工業さんに熱烈オファーしたところ、
カフェプロMR-F60Aをレンタルさせていただきました!なんて懐が深い会社なんでしょう。
使い心地やコーヒーの味を、レビューしていきます!
誰でも簡単にコーヒー焙煎ができる
ダイニチ カフェプロ MR-F60Aの特徴
まずは基本スペックと内容物を紹介します。
カフェプロ MR-F60Aのスペック
項目 | 仕様 |
---|---|
生豆投入量 | 60g |
焙煎度 | 5段階 |
焙煎時間 | 加熱約15分、冷却約10分 |
外形寸法 | 高さ28cm×幅24.1cm×奥行18.6cm |
重量 | 2.3kg |
電源コード長さ | 1.3m |
安全装置 | 転倒自動停止装置、停電安全装置、 室温異常自動停止装置、過熱防止装置 |
付属品 | 計量カップ、お手入れブラシ |
生豆投入量は60gなので、焙煎すると水分蒸発などの影響で50g程度になります。
この焙煎量では業務用として使うことはできませんが、
家庭で使う分には何種類かの煎りたてコーヒーを準備できるのでちょうど良い量だと思います。
焙煎時間は加熱・冷却合わせて25分ほどで、冷却終了後にすぐに次の焙煎が可能です。
他の類似製品では、冷却後さらに20分ほど間隔を空けなければならないものもありますので、大きな利点です。
その他、使ってみて以下の特徴があると感じました。
- 誰でも簡単にコーヒー焙煎ができる
⇒特別な焙煎技術が必要ないので、すぐにおいしいコーヒーが焙煎できる - 焙煎中に煙が出ない
⇒賃貸、アパートでも安心 - 大きすぎない運転音
⇒生活空間で使用可能 - チャフ(薄皮)が飛び散らない
⇒部屋が汚れない - 生産からアフターサポートまで日本製
⇒安心して長く使える
順に解説します。
誰でも簡単にコーヒー焙煎ができる
詳細の使い方は後述しますが、ボタンを押すだけで焙煎ができます。
そのため、特別な焙煎技術や知識を持っていなくても、
MR-F60A焙煎機を買ったその日から誰でもおいしいコーヒーが焙煎できます。
焙煎中に煙が出ない
最も深い焙煎度#5で焙煎中
実際に使用してみて、一番驚いた点かもしれません。
まったくと言って良いほど、焙煎中に煙が出ません。
通常のドラム式焙煎機や手網焙煎では、焙煎中にかなりの煙が出てきます。
そのため、近隣住民や自宅内で迷惑にならないような配慮が必要でしたが、
MR-F60Aではそのような配慮はまったく必要ありません。
賃貸でも、アパートでも心置きなく焙煎できます。
ダイニチ工業さんに煙が出ない理由をお聞きしたところ、
十分な送風空気量を確保することで、煙と匂いを分散させているため、煙は見えず、匂いは濃縮したようなものにならないようにしています。
とのことでした。
しかも、多少の悪条件下(家庭での電圧降下、生豆量のバラツキなど)においても、
十分な機能となるように設計がされているそうです。この点は、安全性にもつながるとのこと。
ダイニチ工業は石油ファンヒーターや加湿器といった、空気を制御する製品を多数作っているので、
その技術の蓄積あってのことだろうと思いました。
家庭で使われる環境を、よく理解して作られている製品です。
大きすぎない運転音
音に関して、気になる方もいらっしゃると思います。
焙煎中の動画を撮ったので、参考にしてみてください。
MR-F60A 焙煎中の動画
焙煎中の音は、掃除機より小さいかな、という体感です。
- 「ウー」という電気ストーブの低い音
- 「ゴー」という換気扇の風切り音
- 「カシャカシャ」と豆がこすれる高い音
が混ざったような音です。
メーカーによると、約55~60dBということで、
これは「普通の会話」程度の音量です。
すごく静か!というわけではありませんが、思ったほどうるさくありませんでした。
チャフ(薄皮)が飛び散らない
焙煎終了時の写真
手網焙煎や排気の付いていないドラム式焙煎機だと、
生豆からチャフが飛び散って部屋が汚れてしまいます。
しかしこのMR-F60Aでは、しっかりチャフコンテナに溜めることができます。
そのため、チャフコンテナを取り外してチャフをゴミ箱に捨てるだけ。
チャフで部屋を汚すことはありません。
チャフコンテナ、上フタはそれぞれ分離可能
生産からアフターサポートまで日本製
他の類似製品は中国生産のモノが多い中、
MR-F60Aは生産、アフターサポートすべて日本で行っています。
他社製品との違いは何ですか?
と、ダイニチ工業の技術者の方に聞いたところ、
耐久性、信頼性と考えています。MR-F60Aは2500時間運転できるように設計されています。
とのことでした。
2500時間は、1日2回焙煎(焙煎後、約100g分)して約7年に相当します。
そんなにたくさんのコーヒー豆、消費しきれないほどの耐久性ですね。
開発の開始当初はたった50時間しかもたなかったそうですから、
技術的な工夫を経て耐久性を確保した事がわかります。
安くてもすぐ壊れたら意味が無いですので、耐久性・信頼性が確保されているのは安心ですね。
煙が出ない、耐久性・信頼性に優れた焙煎機!
カフェプロ MR-F60Aの使い方
説明の必要がないほど簡単な使い方ですが、
いかに簡単に扱えるかイメージできるように焙煎の流れを解説します。
付属の計量カップすりきり1杯、60gの生豆を計量して投入します。多いのも、少ないのもNGです。
本体の電源をONにします。
前後左右に30cm以上、上部に100cm以上の空白があることを確認してください。
1(浅煎り)~5(深煎り)の中から焙煎度を選びます。
スタートボタンを押して、焙煎を開始します。加熱約15分、冷却約10分で終了です。
もし途中で止めたい時は、電源ボタンを押せば冷却がスタートします。焙煎時の色やハゼの音で「今加熱をとめたい!」と思った時に使えます。
焙煎が終了すると、「ピーピー」と音がして知らせてくれます。
チャフコンテナを取り外し、チャフをゴミ箱に捨てます。
排気口に詰まったチャフは、付属のブラシで簡単に取れます。
以上です。特別な操作や知識は必要ありませんね。
焙煎したコーヒー豆の見た目と味:焙煎度ごとに比較
ブラジルNo.2の生豆で、1(浅煎り)~5(深煎り)の焙煎度を煎り分けてみました。
見た目と、カッピングによる味の違いを紹介します。
コーヒー豆の見た目を比較
全焙煎度の豆ヅラ比較
#1(浅煎り)から#5(深煎り)まで、徐々に豆の色が暗くなっていることがわかります。
焙煎度は、ダイニチ工業のHPに記載されていた表現を使っています。
#1~#3は、ハゼ音は聞こえませんでした。
#4は、1ハゼのみ聞こえました。
#5は、2ハゼもしっかり聞こえました。
フレンチ、イタリアンローストといった、
焙煎直後に油が出てくるような極深煎りはできません。
安全性を考慮しての設計と思います。
カッピングによる香り、味の比較
それぞれの焙煎度のコーヒー豆に関して、カッピング方式で香り、味を確認しました。
豆の種類が違うと、印象が変わる可能性があるのでご注意ください。
カッピングの条件
- 豆の量:10g
- 挽き目:中挽き(EK43S #12)
- 湯温:約100℃(沸騰したて)
- 湯量:170g
- 4分後、ブレイクしてテイスティング
カッピングの結果
焙煎度 | 香り | 酸味 | 苦み | 甘み |
---|---|---|---|---|
#1 | ||||
#2 | ||||
#3 | ||||
#4 | ||||
#5 |
味の感想
焙煎度 | 味の感想 |
---|---|
#1 | 香りは抜群に良い。ほとんど苦みを感じず、酸味と甘み主体の味。冷めると、やや草っぽい味がした。 |
#2 | ほとんど苦みを感じず、甘みを感じた。浅煎りが飲みたい時は、この焙煎度がオススメ。 |
#3 | お湯を注いだ時の香りが特に良かった。バランスの取れた味。冷めた時は、最も甘みを感じた。 |
#4 | 酸味はほとんど感じなくなり、苦み主体になってくる。甘みもしっかり残るので、深煎りはこの焙煎度がオススメ。 |
#5 | #4よりもさらに苦みが強くなる。アイスコーヒーなど、しっかり苦いコーヒーにしたい時にオススメ。 |
どの焙煎度も個性がハッキリしていて、色々なキャラクターのコーヒーが作れました。
生豆の種類や好み、気分によって煎り分けることができます。
これぞ、焙煎の醍醐味ですね。
#5に関しては、2ハゼ後の経過時間や豆の見た目を参考にして、焙煎時間を微調整しても楽しいと思います。
幅広い焙煎度に対応可能
スペシャルティコーヒーの焙煎
スペシャルティコーヒー生豆についても、MR-F60Aでおいしく焙煎できるのか?
酸味系、苦味系のコーヒーで試してみたので紹介します。
なお、焙煎後1週間エイジングしてから試飲しました。
焙煎したてもおいしいですが、数日間置いた方が、味が出しやすくて私は好みでした。
エチオピア ゲイシャ(酸味系)
- MR-F60A焙煎度:#3
- 豆量:13g
- 挽き目:中挽き
- ドリッパー:ハリオV60 -01
- 湯温:91℃
- 抽出量:210g
- 抽出時間:2分30秒
ゲイシャ特有の、良い香りが楽しめました。
#3の焙煎度では、酸味の角が丸くなって甘みも強く、飲みやすくておいしかったです。
浅煎りの酸味が好き!という場合は、#2がオススメです。
コロンビア シエラネバダ(苦味系)
- MR-F60A焙煎度:#5(2ハゼ後20秒で煎り止め)
- 豆量:13g
- 挽き目:中粗挽き
- ドリッパー:ハリオV60 -01
- 湯温:82℃
- 抽出量:180g
- 抽出時間:1分30秒
焙煎度#5で最後まで焙煎すると、苦味が強くなりすぎそうと思ったので、
2ハゼが聞こえてから20秒くらいで冷却をスタートしました。
そうすることで、苦すぎず、後味が甘いテイストに仕上がりました。
深煎りでも、おいしいコーヒーを作ることができました。
カフェプロ MR-F60Aのメンテナンス
カフェプロ MR-F60Aに必要なメンテナンスを紹介します。
メンテナンスもとてもお手軽なので、気兼ねなく使うことができます。
本体、吸気口
本体が汚れてきたら、柔らかい布でからぶきします。
また、吸気口にほこりがついてきたら、柔らかい布でからぶき、もしくは掃除機で吸い取ります。
上フタ、チャフコンテナ
使用後毎回
排気口、および内側に付着しているチャフなどの汚れを、付属のブラシで取り除きます。
焙煎運転の5回に1回程度
排気口に付着するコーヒー油を取り除くため、
中性洗剤を排気口に数滴たらし、十分になじませます。
歯ブラシなどで排気口の内側、外側をこすってコーヒー油を取り除きます。
その後、水道水ですすいで、水分をふき取ります。
汚れがひどいとき
ぬるま湯1Lに対してアルカリ洗剤(推奨:セスキ炭酸ソーダ10g)を溶かし、上フタとチャフコンテナを半日~1日程度漬けます。
その後、歯ブラシなどで排気口に付着しているコーヒー油を取り除き、
水道水ですすいで、水分をふき取ります。
焙煎釜
焙煎釜は黒くなっても焙煎に影響はないので、そのまま使用できます。
異物が入ったときは、取り除いてください。
また、汚れたときは柔らかい布でふき取ってください。その際、温度センサーに強い力がかからないよう注意です。
自家焙煎のメリット
自宅で自家焙煎ができるようになると、以下のようなメリットがあります。
- 焙煎したてのコーヒーが飲める
- 色々な生豆を自由に試せる
- 好みの焙煎度にできる
- コーヒーの単価が安くなる
コーヒー屋さんで焙煎豆を買うのも良いですが、
自家焙煎をするといつでも焙煎したてのコーヒーが飲めるメリットがあります。
また、自分の好みの産地の豆を好みの焙煎度に仕上げることができます。
コーヒー生豆は焙煎豆よりも割安に仕入れることができるので、
たくさんコーヒーを消費する方にはコストメリットもありますね。
まとめ
ダイニチ工業の家庭用コーヒー焙煎機:カフェプロ MR-F60Aについて、オススメな人とそうでない人をまとめます。
オススメの人 | そうでない人 |
---|---|
手軽にコーヒー焙煎をしたい 煙の出ない焙煎機が欲しい チャフが飛び散らない焙煎機が欲しい 耐久性・信頼性を重視する メンテナンスが簡単な焙煎機が欲しい | 焙煎技術を極めたい 自家焙煎珈琲店を開きたい |
カフェプロ MR-F60Aは、手軽にコーヒー焙煎を始めたい方や、
煙の出ない焙煎機でご近所に気兼ねすることなく焙煎したい方に最適です。
また、日本産で耐久性・信頼性を重視した設計がされており、長く使えます。
お手軽・近所迷惑にならない・耐久性◎
一方で、火力や排気を自由に調整して焙煎技術を極めたい方、
そして将来的に自家焙煎珈琲店を開きたい方などは、
より細かく調整が可能な焙煎機を選ぶことをオススメします。
家庭でも使える小型焙煎機の選び方は、他の記事でまとめているので参考にしてみてください。
小型焙煎機の選び方
オススメのガス式 小型焙煎機
焙煎のことを学びたい方向けの本
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
コーヒー焙煎ライフ、楽しくておいしいですよ!